日付:2012年4月27日~5月1日
講師:和田幹男神父(大阪教区司祭、日本カトリック神学院講師)
詩編は、ダビデの時代(在位前1010/1000年~970/960年頃)から前200年頃の間のイスラエルの祈りを集大成したものです。これは、イスラエルが信仰共同体として体験した歴史の出来事を反映しながら、人間の心に生起する様々な思いを神への祈りとして詠ったものです。内容は多様で、賛美、嘆願、感謝などの種類に分けられます。
キリスト教会は、ユダヤ教の伝統の祈りとしての詩編を受け継ぎ、教会の祈りとしました。キリスト・イエス自身も詩編の祈りによって祈られたので、教会の信徒が祈る時、キリストとともに祈ることになります。
今回の和田神父様の講義は、詩編の一つ一つのことばの背景や、ヘブライ語、ギリシャ語の語源に触れながら、詩編作者の意味したところは何であったかを学術的に解説するものでした。
詩編は、聖霊の霊感をもって書かれたものですから、ユダヤ人の信仰告白の祈りであるばかりでなく、現代の日本人のわたしたちの魂の奥底からあふれる神への憧れや思いを神にささげる言葉にもなり、神がわたしたちに語りかけることばでもあります。
1800年ほどの伝統をもつ、モナスチカ生活(神のみを探究する修道生活)において、詩編は常に修道者たちの祈りの中心を占めていました。古代の修道者たちは詩編を暗誦し、テキストなしでいつでも祈れるようにしていましたし、何よりも、詩編の祈りを神のことばとして、自分の中に生きつかせていました。